公正証書遺言は自筆証書遺言に比べてより確実性の高い遺言を作成することができます。ただし、そのためのコストがかかるのも事実です。ここでは、公正証書遺言についての特徴、作成の流れについてお伝えします。
遺言書とは?
そもそも遺言書とは何でしょうか?多くの方が「自分が死ぬ前に書くもの」というイメージ・認識でいるかと思いますが、それは遺言書ではなく「遺書」です。遺言書とは、ご自身が元気なうちに、自分が亡き後「自分の意思を実現する」ためのものです。元気なうちにしか書けないのが遺言書です。それ故、遺言書は書こうと思ったらするに書き始めた方がいいのです。
【公正証書遺言の作成方法】
2人以上の証人立会いのもと、公証役場で作成されます。遺言者が公証人に対して遺言の内容を口述し公証人が作成します。
【公正証書遺言の保管方法】
公証役場にて原本が保管されます。
【相続開始後の手続き】
検認不要で公証役場にて遺言の内容を確認できます。
公正証書遺言のメリット、デメリット
公正証書遺言を残す場合のメリットやデメリットはこのようになります。
【メリット】
- 作成は公証人が行うため、形式不備などによる遺言の無効が起こるリスクが無い。その上自分で作成しないので、文字が書けない状態の人でも遺言を残すことができます。
- 出張作成制度を利用することで、自宅や病院などでも遺言の作成ができます。
- 保管は公証役場でされるので、遺言の偽造や紛失のリスクがありません。
- 公証人や証人の前で作成されるので、遺言書を作成する時の意思能力について後々争われる可能性が低いです。
- 検認が不要です。
メリットを見てみると、より信頼性の高い遺言を残したい方や、自筆ができない方向けであることが分かります。
【デメリット】
- 作成費用や手間がかかる
デメリット部分の費用や手間に関してですが、証書作成の手数料は遺言の対象となる財産額が高額になるほど手数料の額も上がります。一般的には、証人を依頼した場合の費用は1人あたり5,000円から15,000円と言われており、出張制度を利用した場合は公証役場で作成する際の1.5倍程の費用がかかります。
証人に依頼する分、打ち合わせ日や作成日を予約しなければならなかったり、必要書類を揃える時間がかかります。自筆証書遺言に比べて時間がかかるのも公正証書遺言を作成する際の特徴です。
公証人手数料は相続財産の価額によって変動する
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
上記の表は、公正証書遺言を作成するにあたり公証人に支払う手数料額の表です。相続財産の価額により手数料は変動します。相続財産が高くなればなるほど手数料も高くなる仕組みです。